世界遺産に登録されている「サグラダファミリア」で知られるスペインの建築家、アントニ・ガウディ。
その作品に魅せられ、現地で取材を重ねている人気漫画家がいます。「スラムダンク」などの少年漫画で記録的なヒットを生み、書や屏風絵なども手がけている井上雄彦さんです。
今月からガウディとコラボレーションした展覧会を開き、その創造の源に迫ろうとしています。
ずっと見ているうちに
井上雄彦さんはガウディの作品のインパクトに惹かれ、3年前からゆかりの地を巡っています。
足跡をたどるイラスト集も出しました。
アントニ・ガウディは、1852年生まれのスペインの建築家です。代表作のカトリック教会、サグラダファミリアは、1882年の着工以来、130年以上たった今も建設が続いています。
ほかにも、独特の曲線模様を見せる住宅建築の「カサミラ」や、色鮮やかなオブジェが目を引く「グエル公園」などを手がけ、バルセロナに残されたこうした作品群は世界遺産に登録されています。
井上さんは、そうしたガウディの創造の源を知りたいと取材を重ねてきました。
「最初はやっぱり謎というか理解しがたいというか、すごく自己主張がある建物だったり作品だったりっていう印象があったんですけど、ずっと見ているうちに、だんだん、ガウディが好きになったし理解したいと思うようになったし描きたいと思うようになったんですね」(井上さん)。
身近な自然が作品に
井上さんはバルセロナだけでなく、ガウディが幼少時代に過ごした田舎町も訪ねました。
子どものころリューマチで足が悪かったガウディは、自然を眺めて暮らしていました。
そのことを知った井上さん、巨大な樹木のように見える柱が内部にそびえ立つサグラダファミリアにも、身近な自然から作品を生み出したガウディらしさを見いだしたそうです。
「自然の中に一人いたっていうのは、やっぱり自然と向き合う時間っていうのが、きっとあっただろうし。そこでいろいろ気付いたこととか見つけたことっていうのは、きっとあっただろうし。できるだけ自分を空にしてというか、自分の中に何か大切なものを通して、それを出たものが作品になるっていうような創り方をしていたんじゃないか」(井上さん)。
もっと自由な物作りを
井上さんは、ガウディとコラボレーションした展覧会を今月から東京で開いています。
ガウディの残した貴重な設計図などともに井上さんのイラストも展示。
来年にかけて各地を巡回し、時代も場所も手法も異なる2人の表現者の魅力を、多くの人に伝えようとしています。
この一連の活動は、これからの創作活動にどのように生きるのか。井上さんは、「自分が勝手に作ってた枠みたいなものが、やっぱりあるなっていうことに気が付いて。やっぱり、もっと自由な物作りっていうものをしていこうっていうふうに思いました」と話していました。
展覧会「ガウディ×井上雄彦」は、東京・六本木の「森アーツセンターギャラリー」で9月7日まで開かれています。
その後、金沢、長崎、神戸、仙台でも開かれる予定です。